質取引の具体例

預け入れの時
Aさんにはどうしてもすぐに必要なお金がありました。

そんな時に自分のネックレスを持って近所の質屋に行きました。
Aさんは「このネックレスで5万円貸して下さい。」と希望しました。
初めてのお客様であれば、質屋は身分証で年齢を含めた
本人確認をし、質取引の仕組みの説明します。
以前に来店した事があれば、「Aです。」と言うだけで結構です。

@査定が希望額を上回った場合
質屋が質草(しちぐさ:預け入れる品物、今回はネックレス)
を査定をして、言いました。
質屋「良い物をお持ちですね。6万円まで出せますよ。」
Aさん「でも5万円で十分です。」
Aさんはネックレスを預けて、現金5万円と
質札(しちふだ:質草の預り証、1000円札より小さく
テレカより少し大きい紙)を受け取りました。

A査定が希望額を下回った場合
質屋が質草を査定して言いました。
「5万円は厳しいですね。3万円までならお出しします。」

A−1 取引不成立
Aさん「3万円じゃ意味が無いのでやめておきます。」
質屋はAさんにネックレスをお返ししました。
査定は無料なので、Aさんの負担は一切ありません。

A−2 取引成立
Aさん「じゃあ3万円貸して下さい。」
Aさんはネックレスを預けて、3万円と質札を受け取りました。

A−3 取引成立・常連サービス・色をつけた査定
Aさん「3万円かあ。なんとか、4万円お願いできませんか。
    絶対に出しますから。」
質屋「Aさん、特別ですよ。」
Aさんは常連さんで正直な方だと知っていた質屋は、
流れたら損をするのを承知で、査定額以上のお金を貸しました。
Aさんはネックレスを預けて、4万円と質札を受け取りました。


お客様からお預かりした質草は質屋さんの台帳に記載され、
質倉
(しちぐら:公安委員会の厳しいチェックをパスした倉。
無いと質屋営業出来ません。)
で大切に保管させて頂きます。

保管の期間は3ヶ月間です。流質期限と言います。
後日、流質期限内に借りたお金と利息を支払えば、
質草はお客様の元へ戻ります。

質取引の利息は質屋営業法で定められた範囲内です。
上限で1万円借りても月900円の割合です。
もちろん借りたお金が大きいほど利息も高くなります。
お客様に過度の負担がかからないようにするため、
当店が所属する地元の質屋組合では、高額な品物に対しては
自主的に利息の割引をしております。

当店では、質入した日を基準に、
翌月の同じ日までを1ヶ月とカウントします。
例えば、5月25日に預けたら、6月25日までを1ヶ月とします。
月末に預けて月が替わったからといって、当店におきましては
お客様が2ヶ月分の利息を請求される事はありません。
利息は月割りです。1ヶ月以内に受戻せば1ヶ月分かかります。
質入から1ヶ月超2ヶ月以内なら、2ヶ月分の利息、
質入から2ヶ月超3ヶ月以内なら、3ヶ月分の利息が必要です。

流質期限の3ヶ月を経過すると質草は流れてしまいます。


3つの選択肢

お客様は流質期限内であれば、
「受戻す(出す)」「流す」「流質期限を延長する」の中から、
自分で好きな選択をする事が出来ます。


質取引は何口あっても構いません。

指輪で2万、ネックレスで5万、バッグで3万円というように
質草をそれぞれ別々に預けていた場合は
この指輪は流す。このネックレスは出す。このバッグは延長。
取引ごとに自由に選択して下さい。
無理に全部いっぺんに出す必要はありません。
ただし、指輪とネックレスとバッグを併せて10万円という
取引の場合は指輪は流して、ネックレスを出して、
バッグは延長して預けておくという事は出来ません。
一度「指輪とネックレスとバッグのセット」を受戻してから、
バッグを質入して、不要な指輪を売ってください。
高額な質入に対しては大幅な利息の割引サービスがあり、
別々に分けて質入したら個々の品については出しやすいと
いうメリットがあります。
複数の品物をお持ちのお客様は、お客様自身で
質入のときにまとめて質入するかどうか選択して下さい。



さて、Aさんがネックレスを質草として、
質入をした日がホワイトデーの3月14日だとしましょう。
Aさんと質草はその後どうなったのでしょうか。

質草を受戻した場合
3月25日給料日にAさんは質草を受戻しに質屋に来店しました。
質札を提出し、品物を受け取りに来た事を告げると
質屋さんは質倉から質草を持ってきました。
3月14日に預けたので、4月14日までは1ヶ月で受戻せます。
借りたお金と月割りの利息(1ヶ月分)を質屋さんに支払った後、
Aさんは預けたネックレス
(質草)を受け取りました。
これで取引は終了です。

万が一、質札を紛失した場合でもAさんの身分証があれば、
Aさん自身が来店すれば質草を受戻す事が可能です。
質札の裏面には受戻しに関する委任状もあります。
もし、Aさん本人が 忙しくて受戻しに来店出来ない場合は、
受戻しを信頼できる知人に委任する事も可能です。

質草を流した場合
Aさんは何らかの事情で質草を預けている途中に質草を
受戻すためのお金を工面するあてが無くなってしまいました。
もしくは、質入していた品物が要らないなと思えてきました。
「流していいですよ。」とAさんは一言質屋に連絡を入れました。
その後、質屋さんからAさんに連絡が行く事は無く、
流質期限の6月14日を過ぎたら質草は処分されました。
(連絡をしないでも
流質期限を過ぎたら質草は処分されます。
質流れによって、質草の所有権がAさんから質屋に移りました。
でも、Aさんは借りたお金を今後一切返す必要がなくなります。

この時点で取引は終了です。

質流れした品物は質屋さんの所有物ですから
店舗で売られるか、業者が集まる市場で売られる事になります。

Aさんの流した品物はいつ売れるか分かりません。
仮にAさんが5万円で質入した質草が流れた後に
4万円でしか売れなかったとしても、後日質屋からAさんに
1万円足りないから払って下さいと請求が行くことはありません。
逆に6万円で売れたとしても、質屋からAさんに1万円余りました
と支払いも連絡もありません。

でも、うっかり忘れている内に流質期限が過ぎていて、
大事な質草が勝手に処分されていたら、悲しいですよね。
当店では希望するお客様には流す前にサービス
「流していいですか?」と確認の連絡を入れています。

流す事は悪いことではありません。
遠慮なく一つの選択肢として選んで下さい。

そして、また必要があったら、当店を利用して下さい。

でも、「親の形見だから。」「絶対に出すから。」と質屋に対して
言っておきながら、実際には流してばかりいると、
色をつけた査定(A−3)が受けづらくなります。
最初から不要な物は買取で、大事な物は質預かりで、
迷っていたら質預かりで3ヶ月間慎重に考えて下さい。

流質期限の延長をした場合
流質期限を経過すると質草が処分されてしまいます。
買ったとき高かったし、大事な物なので流すのは忍びない。
でも、出すお金が都合つかない。どうしよう。
そんな時には、流質期限の延長が可能です。
月割りで1ヶ月分の利息を入れれば流質期限を1ヶ月、
月割りで2ヶ月分の利息を入れれば流質期限を2ヶ月、
月割りで3ヶ月分の利息を入れれば流質期限を3ヶ月、

延長することが可能です。(流質期限内に支払った場合)
延長した流質期限内に、再度お客様が3つの選択肢から
自分で1つ選択することが出来ます。

つまり、延長後に受戻す事も流す事も再延長・再々延長・
再再・・・とずっと延長し続ける事も可能です。

ただし、流質期限の延長のために支払った利息は
後日流した場合があったとしても返還されません。
質屋側も値崩れのリスクを負ったり
保険等の経費もかかっています。
経済的な理由で出すのが無理だと思ったら、
思い切って流した方が良い場合もありますよ。

品物を預け入れた3月14日から3ヶ月後の
流質期限の日(6月14日)が迫っていました。

Aさんは質草を受戻すためのお金が用意出来ませんでした。
でも、大切な物だから流せないと思い、流質期限前の
6月10日に質屋に
質札を持って来店し、
流質期限の延長を申し出ました。
2ヶ月分の
利息を支払うと、質屋は質札に領収の旨と
2ヶ月延びた
新しい流質期限8月14日の記載をしました。
(質札を紛失した場合でも、質屋の帳簿に記載されます。)

Aさんは新しい流質期限の8月14日までの間に
再度自分で3つの選択が出来る権利を得ました。

@その後に受戻した場合
7月10日、ボーナスを貰ったAさんは質屋に来店し、
質札を出して、借りたお金利息を支払って、
ネックレス
(質草)を受け取りました。
質草を預けた3月14日から4ヶ月が経過していますが、
2ヶ月分の利息は期限の延長時に支払っているので、
残りの2ヶ月分の利息を払う事になります。
ここで取引終了です。

Aその後に流した場合
Aさんは流質期限の延長をして、質草を受戻すつもりでいたの
ですが、7月に同じようなネックレスをプレゼントでもらったので、
延長はしたものの、質草のネックレスが不要に思えてきました。
「やっぱり流します。」とAさんは質屋に連絡をいれました。
その後、質屋さんからAさんに連絡が行く事は無く、
新流質期限の8月14日を過ぎたら質草は処分されました。
連絡をしないでも流質期限を過ぎたら質草は処分されます。
質流れによって、質草の所有権がAさんから質屋に移りました。
でも、Aさんは借りたお金を今後一切返す必要がなくなります。

この時点で取引は終了です。
流質期限の延長のために支払った利息は返ってきません。

Bその後にさらに流質期限の延長をした場合

Aさんはお盆休みに旅行に行くことにしました。
質草を受戻すと旅費がちょっとだけ心配です。
一度受戻して、また必要だったら質入しても良いのですが、
再度、流質期限を延長することにしました。
新しい流質期限の8月14日より前の8月1日に質屋に来店した
Aさんは
質札を出して、流質期限の再延長を申し出ました。
1ヶ月延長するので、1ヶ月分の
利息を支払うと、
質札に領収の旨と
新しい流質期限9月14日と記載されました。
Aさんは流質期限内であれば、再度3つの選択が出来ます。


長文読破お疲れ様です。質取引の仕組みについて、
分からない事があれば、遠慮なくお店で聞いて下さい。